昔々、浦島太郎が竜宮城から戻って来た時、彼の知っている世界はもうそこには無かった。
 みなさんはNEET(「Not in Employment, Education or Training」の略で、職に就いていず、学校機関に所属もしていず、就労に向けた具体的な動きをしていない若者を指す)という言葉をご存知ですか。
 「自分探し」とNEETという言葉は、同じ頃から使われはじめています。「自分探し」に自ら踊り、やりたいことを見つけているうちにNEET状態に行き着いてしまう。自分に浸っているうちに「なぜそこにいるのか」を忘れてしまった若者が多くなったと感じます。
 NEETは昔からあったのか。確かに、私たちの時代にもモラトリアムという言葉がありました。しかし今のNEETとはどこか違って見えます。
 モラトリアムはいずれ終焉を迎え、働くという現実と向き合わなければならないときがくると分かっていた。それは生活のためでもあり、自己実現のためでもあった。そのときをどこかで覚悟しながら、モラトリアムな時を楽しんでいたのかもしれません。
 NEETは「所属の欲求」に至らず、自分の殻を安全な場所にし、そこから出てこない。でもそれは彼らのせいなのか。彼らだけの問題なのか。親には問題が無いのか。社会には問題が無いのか…。その答えはまだわかりません。
 そろそろ新卒採用者の研修が始まります。社会人としての第一歩を踏み出し違えないように。