庭を彩る木々は、利用者・家族のしょうわに対する思いをもとに、一本一本植栽させていただいています。そして今年の春も、桜は見事な花を咲かせてくれました。新緑の頃も過ぎ、若芽は生き生きと季節を謳歌しています。今はバラが満開です。植えた時期はまちまちでも、どの木もしょうわの土に根づき日々育っています。
庭の木々は丹精籠めて手入れをしています。人の手をひとたび入れたなら、手入れをし続けなければなりません。
木の意志と手を入れる人の心が対話を始めたとき。昨日より今日。今年より来年。自然の意志が、日々の営みの中でその木を成長させます。
木は自由気ままに成長するわけではなく、自然というルールの中で成長します。落葉は積もり、堆肥となって雪解けの水を保ちます。高く伸びる木もあれば、わずかな光の中で生きて行くものもあります。
一本の木は、その木が大きくなろうと思わなければ大きくはなりません。自然は木をそれぞれにプログラムしました。より大きく、よりたくさん、そしてどんな場所でも育つように。プログラムは木の意志となり、裸子から被子へ、常緑から落葉へ。何億年の時が証明しています。そこには生きていくための、育っていくための強い意志があります。
「まあいいか」「こんなものか」「どうでもいい」……貫いた意志が萎えたとき、一本の木は死に絶え、あとには荒涼としたとき世界が広がります。
ゆるみと、妥協と、いいかげん。意志を伝えることができません。
来年も見事な花を咲かせてくれるでしょう。
思いは確実に伝えていかなければなりません。
*会報誌28号(平成21年6月発行)より